第10章「War & Princess」
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脚本:横手美智子/絵コンテ:斉藤哲人/演出:重原克也/作画監督:小島 彰、小菅和久、柴田篤史、谷川政輝、望月俊平、山中正博、酒井秀基
ジャロウデク王国の占領下にあるクシェペルカ王国に潜入したエルたちは、クシェペルカ王族の奪還作戦を開始した。
王族が捕らわれているのは、ラスペード城にある4つの尖塔。エル、キッド、アディ、エムリスは分散して捜索に向かい、無事、エレオノーラ王女たちの救出に成功。
だが脱出したエルたちに、ジャロウデクのレビテートシップが迫りつつあった。初めて見る「空飛ぶ船」に、エルは恐れるどころか、興奮を抑えきれず……。
間者集団
各国の騎士団には、諜報活動を担当する部隊も存在する。フレメヴィーラ王国の騎士団の中でも、藍鷹騎士団は諜報活動を専門に行う間者集団である。同騎士団のノーラは、銀鳳騎士団との連絡役として、ライヒアラ騎操士学園の新入生という形で派遣された。
ノーラは銀鳳騎士団での活動の中でシルエットギアの有用性に注目。シルエットギアはエーテルリアクタを搭載していないため、吸気音が発生せず、優れた静穏性を実現していた。またワイヤーアンカーを用いた自在な空中移動や、着地時の衝撃を吸収する魔法エアサスペンション(大気衝撃吸収)によって、優れた機動性をも兼ね備える。
シルエットギアの戦闘能力は、シルエットナイトとは比較にならないほど低い。だが、生身の人間にとっては十分に脅威であり、対人任務が中心の藍鷹騎士団にとっては、うってつけの機体といえた。クシェペルカ王族の救出作戦を成功に導いたのも、シルエットギアの活躍が大きい。
対するジャロウデク王国の間者集団がケルヒルト率いる銅牙騎士団である。同騎士団の使用機体ヴェンドバダーラは、静穏性と隠密性を重視した特殊なシルエットナイトだ。細身の体躯に滑らかな外装を持ち、頭部に至っては眼球水晶が露出している。軽量化を突き詰めた結果、装甲の一部には魔獣の革を使用している箇所もあった。戦闘能力や持久力は低いものの、諜報活動においては他に並ぶ者のない機体といえる。